昨日は、編集の本質が「素材の価値を引き出し、社会に伝わる形にする技術」であるとお伝えしました。今日は、その思考プロセスを支える最も重要なフレームワーク、「3つの柱」について詳しく解説します。

編集思考は、以下の3つのプロセス(柱)で構成されています。この流れを意識することで、あらゆる情報や経験を「価値」に変えることができます。

【1:まとめる(Organize)】

「まとめる」
定義:散らばった情報・経験・強みを整理し、本質を見抜く力

「まとめる」力は、編集プロセスの出発点です。私たちの頭の中には、日々の業務で得た知識、過去の成功体験や失敗談、読んだ本の内容、人から言われた言葉など、膨大な「情報」が散らばっています。これらの情報が、いわば編集の「素材」です。

素材はただそこにあるだけでは価値を生みません。「まとめる」とは、集めた素材を収集し、分類し、構造化することで、中心にある「本質」や「共通項」を見つけ出す作業です。何が重要で、何がそうでないのか。何を大切にするべきなのか。客観的な視点で素材の棚卸しを行い、価値の「核」となる部分を抽出する。それが「まとめる」力です。

多くの人は、この「まとめる」作業を飛ばしていきなり発信しようとしてしまいます。素材が整理されていない状態での発信は、焦点がぼやけ、結局誰にも何も伝わりません。まずは、じぶんの伝えたい「核」を明確にすることからすべてが始まります。

【2:みがく(Refine)】

「みがく」
定義:素材の価値を高め、相手に伝わる言葉・構成・表現に磨き上げる力

素材の核が見つかったら、次はその価値を「磨き上げる」段階に入ります。「みがく」とは、単に文章をうまく書くことではありません。抽出した価値を、ターゲットとする相手にとって「自分ごと」として感じられるような、魅力的な「伝わる形」に変換するすべての作業を指します。

あなたが持つ専門知識を、専門用語を一切使わずに中学生にもわかる言葉で語れるか。あなたのユニークな経験を、誰もが共感できるストーリーとして再構成できるか。その価値を一言で言い表す、心に刺さるキャッチコピーをつけられるか。

「みがく」工程の核心は、「相手視点」への徹底的な切り替えにあります。自分がいかに素晴らしい素材を持っているかを語るのではなく、その素材が相手にとってどんな意味を持つのか、どんな未来をもたらすのかを語る。そのために、言葉を選び、構成を練り、表現を工夫する。このプロセスを経て、単なる「素材」は、人の心を動かす「コンテンツ」へと昇華します。

【3:つなげる(Connect)】

「つなげる」
定義:磨いた新しい価値を「誰に届けるか」「どう届けるか」を設計する技術

どんなに素晴らしいコンテンツが完成しても、それが届けたい相手の目に触れなければ、存在しないのと同じです。「つなげる」とは、磨き上げた価値と、それを最も必要としている人を結びつけるための「戦略」を設計する技術です。

具体的には、「誰に(ターゲット)」「何を(コンテンツ)」「なんのために(目的))」届けるかを考えることです。あなたの価値を最も評価してくれるのはどんな人か。その人は、普段どんな情報を、どんな場所(SNS、ブログ、書籍など)で、どんな気持ちで求めているのか。

さらにこの「つなげる」の段階では、特に情報の受け手の「欲求」に焦点を当てます。受け手が具体的にどういった「欲求」を持っているかを分析し、その欲求を満たすように届けたい情報を再構成(つなげなおし)します。

これが「つなげる」の本質です。マーケティング戦略と言い替えてもよいと考えています。実際、欲求ベースアプローチ(と名付けているのですが)を元にしたSNS広告では、平均値より10倍の費用対効果を得られた実績もあります。

「まとめる」「みがく」「つなげる」。

この3つのプロセスは、密接に連携しています。このサイクルを回し続けることで、あなたが発信したい内容は、相手に意図が正しく届くようになりますよ!

明日からは、この編集のきほんを活用して、あなたの「当たり前」に隠された宝物についてお話しします。