届けたい相手の顔が具体的に見えてきたら、いよいよ、あなたの価値に「名前」をつける作業、すなわちコンセプト・メイキングの段階に入ります。

コンセプトメイキング入門

コンセプトとは、単なるキャッチコピーではありません。コンセプトは、「あなたが提供する独自の価値を、一言で言い表した旗印」です。その旗印があるからこそ、人々はあなたを認識し、記憶し、他の誰でもない「あなた」を選ぶことができるのです。

私が提唱している「編集思考」という言葉も、まさにコンセプトです。私が長年培ってきた編集者としての暗黙知を、「編集という行為を、ブランディングやビジネス戦略に応用する思考法」と再定義し、名前を与えたものです。

この「編集思考」という旗印があるからこそ、私の考えは多くの人に届き、1つの体系的なメソッドとして認識されるようになりました。

優れたコンセプトにある3つの条件

コンセプトを検討する際には、次の3つの要素が含まれることを意識してみてください。

  • 独自性(Only One):他とは違う、あなたならではの切り口があるか。
  • 有益性(Benefit):相手にとって、どんな良いことがあるかが明確か。
  • 共感性(Empathy):相手が「それ、私のことだ」と思えるような、心に寄り添う言葉か。
  • 例えば、単に「文章の書き方を教えます」では、その他大勢の文章教室に埋もれてしまいます。

    では、ここにコンセプトを加えてみましょう。コンセプトを盛り込むことで、じぶんの強みが明確になります。

    例1:「才能に頼らない文章術」(拙著タイトル)

  • 独自性:「才能」がなくても書ける、という切り口。
  • 有益性: 文章が書けるようになる。
  • 共感性:「自分には文才がない」と思っている人に響く。
  • 例2:「朝5分で書ける、SNS投稿ライティング」

  • 独自性:「朝5分」という手軽さと具体性。
  • 有益性: SNS投稿が書けるようになる。
  • 共感性:「忙しくて時間がない」と感じている人に響く。
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    同じ「文章の書き方を教える」という価値でも、コンセプト次第で全く違うものに見えてきます。コンセプトとは、価値の「見せ方」をデザインする行為なのです。

    では、どうすれば自分だけのコンセプトを見つけられるのでしょうか。
    一つの有効な方法が「A for B」という公式です。

    A(あなたが提供する手法・特徴) for B(それによって理想の未来を手に入れる人)という視点で、コンセプトをみがいていきます。

    先ほどの例1と例2で示すと、

    「才能に頼らないメソッド(A) for 文章が苦手な人(B)」
    「朝5分の時短テクニック(A) for 忙しい起業家(B)」

    という構造になっています。

    「A for B」という公式を実践する

    Day 4のワークで書き出したあなたの「素材」と、昨日設定した「たった一人の読者」を、この公式に当てはめてみてください。

  • あなたが当たり前にやっていること(A)は、どんな悩みを持つ人(B)を救えるだろうか?
  • あなたが情熱を注いできたこと(A)は、どんな理想を追い求める人(B)の役に立つだろうか?
  • たくさんの組み合わせを試していくと(もちろん周囲の力も借りてくださいね)、あなた自身が心から「これだ!」と腹落ちして、納得のいく組み合わせが見つかるはずです。

    それが、あなたのビジネスを、あなた自身の人生を牽引していく、強力な旗印となります。
    価値は、コンセプトとして名付けられて、初めて人の心に届くのです。


    明日は、その価値を、正しく相手に、社会に届けるための「設計図」についてお話しします。